肝臓内科

診療科・部門紹介

医師紹介

​医師 石川 和克

<資格>

  • 医学博士

  • 日本消化器病学会認定専門医

  • 日本肝臓学会認定専門医

  • 日本内科学会認定医

  • 日本人間ドック学会認定医

  • ​日本医師会認定産業医

  • 岩手県立大学名誉教授

​肝臓内科について

次に示すように、肝障害は色々な原因でおこります。頻度の高いものから比較的稀なものまで有りますが、まず原因を明らかにすることが重要です。血液尿検査や腹部超音波検査でスクリーニングを行い、必要に応じさらに追加血液検査を行い、腹部のCT検査、MRI検査や上部消化管内視鏡検査を併用する場合も有ります。

肝障害は原因の除去により一過性で治る場合も有りますが、慢性に経過する場合は病態の進展を抑える(肝硬変や肝がんへ進展させない)ことが重要になります。最近は、メタボリックシンドロームと診断されかつ肝障害を有する方が増えており、その場合は循環器内科、腎臓内科、糖尿病内科などとの連携も必要になります。またより高度な専門医療が必要な場合は、常に大学病院との連携も可能です。

​対象となる症状・病気

ウイルス肝炎(A,B,C,E型)

脂肪肝(アルコール性、非アルコール性)

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)

アルコール性肝障害

アレルギー性肝障害(薬剤、食物、飲量、サプリメント、環境因子)

自己免疫性肝障害(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎)

感染症に合併する肝障害(感冒、伝染性単核球症、風疹、サイトメガロウイルス感染、他)

妊娠時の肝障害

B型肝炎既感染者の特殊治療によるウイルスの再活性化

原因不明の肝障害

​特徴

平成10年に開設された「肝臓外来」には、過去24年間に特に多くの肝炎ウイルスキャリア(B,C型)のかたが受診されました。C型肝炎は当初はインターフェロン療法で、近年は経口薬(DAA)療法でほとんどのかたが治癒されました。またB型肝炎も近年は核酸アナログ薬(NA)の経口投与で、ウイルスの活動を抑え病態の進行を抑えることが可能になりました。また、脂肪肝や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対しては、生活指導を含めた治療を行っています。併せて、不必要なサプリメントの摂取は控えるように指導しています。

肝臓内科外来の現況
【項目】

C型肝炎

​外来診療において、かつて大多数を占めていたC型肝炎の患者さんは、新薬の経口DAA(ハーボニー、マヴィレット)の8〜12週投与により、ほとんどの例でC型肝炎ウイルス(HCV)が消失し、治癒と判定されるに至り発がんや肝硬変への進展のリスクが減少した。したがって新規治療導入患者さんはごく少数となっており、国をあげての肝炎対策の結果でもある。しかしHCV消失後も希にHCVの再出現例や発がん例がみつかり検査を行い経過観察を行っている。またDAA治療例においては少数ながら、治療前にHBs抗体やHBc抗体などのB型肝炎ウイルス(HBV)の既感染マーカーが陽性の例は、HCVの消失後にHBVの再活性化(HBVの再出現)が報告されているので、このような例には同時にHBVの推移にも留意し経過観察を行なっている。また希に見られるHCVとHBVの同時感染例(この場合HBVは陽性のままであるが、breakthroughの有無に留意)においても同様である。

B型肝炎

​B型肝炎の患者さんは、HBV−DNA量が少なく(1,000IU/mL以下)、HBVコア関連抗原(HBVcrAg)が陰性(1,000U/mL未満)、肝機能正常、腹部超音波検査などで形態学的異常をみとめない場合(いわゆる healthy carrier)は12か月に1回の経過観察を行なっている。HBV-DNA量が10,000IU/mL以上、HBVコア関連抗原が1,000U/mL以上、HBs抗原量が多い(例えば5,000IU/mL以上)場合は、病態の進展抑制のために、適宜新規導入された核酸アナログ(NA)製剤(ベムリディー)を用いている。この場合原則として、3か月に1回の経過観察を行なっている。血中のHBV-DNAは、多くの場合NA投与開始後3か月以内に陰性化するが、HBVcrAg、HBs抗原量は短期間で減少をみることはほとんど無く、肝細胞内でのHBVの増殖は継続していると考えられ、長期にわたる経過観察が必要である。幸いに副作用はほとんどなく、年余にわたる服用の継続が可能である。長期投与による経過観察中、発がんや肝硬変への進展例はなく、HBs抗原量の減少をみる例が経験され、より長期の経過観察によりHBVの増殖抑制による、病態の安定化が期待される。

非アルコール性脂肪性肝疾患

​検診の普及により増加している。生活習慣(食事、運動、睡眠)の指導が主になるが、いわゆるメタボリックシンドローム(MatS)の肝臓における表現型(脂肪型)と考えられるので、循環器疾患、腎疾患、糖尿病との関連に留意して経過観察している。肝機能(ALT、AST)が高値を持続する例は、肝硬変への進展リスク有する非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を念頭におき、大学病院とも連携して対処している。残念ながら特効薬がないがないのが現状であるが、ビタミンE製剤や脂質代謝改善薬の追加など、投薬を工夫している。

特殊な原因による肝障害として留意すべき例

A)一夜の発熱後の肝障害例

38℃の発熱の翌日当院を受診し、肝障害を指摘された。発熱は治まり、主な肝炎マーカーなどは全て陰性で、他覚所見では特記事項はなかった。末梢血では、単核白血球の著名な増加をみとめた。EBウイルスマーカーは、VCA-IgG、VCA-IgM、EAIgGが陽性、EBNAは陰性であった。1か月後、VCA-IgMのさらなる抗体価の上昇をみとめ、EBNAは陰性を持続し、EBウイルス感染症(伝染性単核球症)と診断した。症状が一時的であり、リンパ節腫脹や咽頭症状もみられなかったことから、典型的なEBウイルス感染症の臨床症状ではなく、抗体の推移からEBウイルス感染と診断した。約2か月後、肝機能、末梢血所見ともに正常に復した。症状前、パートナーとの接触があった。

B)高脂血症を伴う肝障害例

高脂血症と肝機能異常を指摘され受診。高脂血症に対する投薬を受けていたが、肝機能は改善しなかった。抗ミトコンドリアM2抗体が陽性であったので、ウルソデオキシコール酸(UDCA)の投与を開始したところ、高脂血症、肝機能異常ともに改善した。高脂血症は、原発性胆汁性胆管炎(PBC)が原因と考えられ、原因が不詳の高脂血症を伴う肝障害例(特に女性)では念頭におくべきである。

C)高脂血症と気分障害を示す肝障害例

​高脂血症と肝機能異常を指摘され受診、気分障害に対する投薬を受けていた。既知の肝障害マーカーは全て陰性であったが、CKが3,000U/Lと著明に上昇し、TSHの著明な上昇、FT3、FT4の低下がみとめられ、甲状腺機能低下症による肝障害と診断した。甲状腺抗ペルオキシダーゼ抗体が陽性であった。甲状腺ホルモンの補充のため、チラージンの投与を開始したところ、約1か月でTSH、FT3、FT4は正常化し、高脂血症、肝機能も著明に改善した。軽度むくみ傾向であった顔貌も改善し、発声も力強く表情も明るくなった。高脂血症、気分障害は甲状腺機能低下との関連が推測された。筋肉痛などの症状は全くなかった。CKの高値は、筋組織におけるミクロレベルでの粘液水腫変化が推測されている。

D)ビリルビン値の上昇が自己免疫性溶血性貧血が原因であった例

直近半年で、特に自覚症状も無く総ビリルビン値が、1.0㎎/dL>から3.0㎎㎎/dLに上昇した。間接ビリルビン有意の上昇で、ALT,AST値は正常、肝障害のマーカーはすべて陰性であった。ビリルビン値の上昇も軽度であり、当初体質性黄疸で経過観察と考えた。しかし貧血が漸次増強し、Hb値は9.0g/dL>を示し、フェリチン値は正常で鉄欠乏性貧血は否定的で、EPO値の上昇から腎性貧血は否定できた。直接クームス試験をチェックしたところ陽性を示し、自己免疫性溶血性貧血の診断で、血液内科へ紹介した。

E)肝実質障害による急性肝炎が疑われたが、胆石の存在と関連する胆道系の機能不全による肝障害と診断した例

高齢の肥満女性。突然の食欲不振、掻痒感、尿の濃染で発症した。黄疸を呈し、(ビリルビン値4.0㎎/dLほど)、ALT値は中等度の上昇(400 IU/Lほど)、同時にγGTP、ALP値も上昇を示した。腹部CTで腫大した胆のうと多数の散在する結石をみとめたが、胆管系の閉塞による胆管の拡張はみとめられなかった。発熱や腹痛は無かったが、右肋骨弓下に圧痛を伴う腫大した胆のうを触知した。WBC値は正常値内であったが、分画で好中球が90%と増多、CRPは弱陽性であった。1週ほどで臨床データは急速に改善し、触知した胆のうも縮小し圧痛も改善した。飲酒・薬剤・サプリなどの摂取歴はなく、肝障害のマーカーは全て陰性で、膵酵素も正常であった。胆石の存在が何らかの機序で2次的肝細胞障害の誘因となったと考えられ、明らかな胆石発作による炎症症状がなくても、臨床検査値や触診所見から胆石の存在と肝障害の関連を考慮すべきと考えられた。肝細胞障害に比して相対的に胆道系酵素の上昇が高度でビリルビンの値の上昇を伴う場合、体型や性別も考慮すべき症例と考えられた。

F)直腸がん肺転移の経過観察中に、胆汁うっ滞による急性肝障害を発症した、自己免疫性肝炎(AIH)・原発性胆汁性胆管炎(PBC)オーバーラップ症候群に起因する肝硬変例

高齢の男性。原疾病は手術適応外の診断で、特に化学療法などは施行せず経過観察していた。過去に肝機能のチェックを受けたことは無い。特に誘因や症状は無かったが、突然の黄疸・肝機能障害で発症した。ALT値は400IU/Lほどであったが、総ビリルビン値は8.0㎎/dLを超え、同時に胆道系酵素のγGTP,ALP値の著明な上昇をみた。IgM、IgG値も高値を示し、胆汁うっ滞型の肝障害を呈した。抗核抗体(ANA)が640倍と高値、抗ミトコンドリアM2抗体(AMA-2)も弱陽性で、低アルブミン血症を示した。肝CTは典型的は肝硬変像を示し、少量の腹水貯留も認めた。ブドウ糖補液・強力ネオミノファーゲンC(SMNC)静注に加え、ウルソデオキシコール酸(UDCA)600㎎/日およびプレドニゾロンを30㎎/日から1週間隔で漸減し5㎎/日を維持量とし経過観察している。治療が奏功し、黄疸は消失、ALT,GTP,ALP値も正常化した。一時期プレドニン投与による高血圧、低K血症がみられたが、維持量にしてからは改善している。本症例の場合、もし早い時期から肝機能や自己抗体のチェックを受け、UDCAなどで管理していたら病態の進展を抑制できた可能性があり、健診受診および必要時の肝機能の精査の重要性が示唆された。精査時には、自己抗体のチェックにより本症例の様な例の拾い上げが可能となる。男性であっても自己抗体陽性例はまれではない。本症例は現在、幸いにも原疾病の増悪はみられていないが、今後も厳重な経過観察が必要である。

G)burnout NASHと考えられた肝硬変例

80歳代の肥満女性。肝機能障害(ALT値200〜300 IU/L前後)、耐糖能異常(HbA1c値7.0〜8.0%)、脂質異常(中性脂肪値300〜400mg/dL)を示したため、循環器内科から紹介され受診。腹部超音波検査では、明らかな肝硬変の所見(F4相当)で、Fib4 indexも3.0〜4.0を示した。飲酒・喫煙歴はないが、若年時(30歳代)に脂肪肝を指摘されたが、放置しておいた。肝障害のマーカーはすべて陰性。生活歴から数十年の経過で非アルコール性脂肪肝(NAFLD)から非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に進展し、現在はburnout NASHの状態で、心血管疾患に対してもハイリスクにあると推察された。ウルソデオキシコール酸(UDCA)を投与を基本に、耐糖能異常に対しメトホルミン・SGLT2阻害薬、脂質異常に対しペマフィブラートを投与したところ、HbA1c値、中性脂肪値は正常まで回復し、それに伴いALT値も正常となった。本症例は幸いに治療が奏功したが、今後も発がんの有無に留意し定期的な画像検査によるチェックと他科との連携で経過観察していく予定である。現在健診などで高頻度に発見されるNAFLD例は、NASHへの進展をも視野に入れ追跡する必要があると考えられている。また原因不詳の肝硬変例の中には本例のような、burnout NASH例の存在することを念頭に、詳細な病歴や生活歴の聴取が重要である。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
受診案内

<外来診療>

  • 水曜日 PM(予約制:受付時間 15:00まで)

この外来は、検診や他院受診時に肝障害を指摘され紹介された方や継続治療を受ける方が中心となります。紹介状が無くても、自身で、倦怠感(だるさ)、易疲労感(疲れやすさ)、食欲不振や嘔気、尿の濃染(尿が茶色っぽくなる)、黄疸(目が黄色い)、お腹の膨らみ(腹水)、足のむくみ(浮腫)、右肋骨下部のわき腹の重苦しさなど、異変を感じた方も受診して下さい。もし肝臓外来以外の日に当院(消化器内科など)を受診された場合は、直近の肝臓外来を受診して頂くまでの指示をさせて頂きます。